陽が入る宿の一室で、オレは、オレのせいで体調を崩してしまったマールの看病をしている。――『死の山』の環境の悪さとそれまでの心身の疲弊が、彼女に熱を出させたんだ。

 水に浸した布をよく絞って折りたたみ、眠っているマールの額に乗せる。
 もしかしてそれで起きてしまうかな、とも思ったけど、そういうこともないようで、マールは規則正しい寝息をたてたままだ。

(よっぽど疲れてるんだな……)
 短いため息をついて、オレは隣のベッドに腰を下ろした。
「……ごめんな」
 薄紅を帯びた横顔に、小さく呟く。
 それは昨日も口にした言葉だった。

 自分が『死んでいた』間のことは、みんなの話から想像するしかできない。
 だけど、マールがどれだけ一生懸命になってくれたのかは、いくら鈍いオレだってわかった。

『もう遠くへ行っちゃあダメだよ』
 死の山のてっぺんで、そう言ってオレの肩に顔を伏せて泣きじゃくってたマールは、なんだかやけに小さく、弱々しく見えた。もしも少し力を込めて抱きしめたら、壊れてしまいそうなほど。
 もともと感情表現が豊かで、涙もろい性質だってのは知ってたけど。
 あんな風に泣く彼女は、初めて見た気がする。
 そして、そうやって泣かせてしまったのは、他でもない。……自分だった。
 その事実に気づいた時、オレは謝る他、言葉を思いつかなかった。

 我ながら大バカだと思う。
 守りたいと思った相手に、逆に助けられて。
 あげく、こんな寝込ませるようなことになるなんて。

 これぐらいじゃ、罪滅ぼしにもならないだろうけど……
 せめて、面倒みるぐらいはさせてくれよな。


47000HITのニアピン賞(笑)ということで、
1番違いですが申告を受け付け致しました〜。
実際のところ、言ったもん勝ちですからウチのサイト(オイ)

リクエスト:「病気のマールを甲斐甲斐しく看病するクロノの図」。
でも絵はあんまり「甲斐甲斐しい」雰囲気じゃないかも……(汗)
うーん、こういうのでも良かったですか? >チマルさん

以前出した同人誌に書き下ろした話で
正にこういうシチュエーションのものがあったのですが、
その中で都合により省いた部分があったので、
せっかくだから加筆修正して地球に優しくリサイクルv
(素直に「没ったのを流用した」と言え。)
現在、その話はサイト内の小説ページに再録済です。
ご興味を持たれた方はこちらからどうぞ。

ちなみに、他のメンバーは
『ビネガーの館』に乗り込みに行ったことになってます。
みんなで傍についててもマールがゆっくり休めないだろうってことで。
クロノが残ったのは、まあ、自分のせいってことと、
あとは当然マールが心配だからですね。
別に彼に下心は全然ないです。書いた奴にはありますが。爆


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