白く細い、機械や銃を扱うにしては繊細な指先が、小さなドライバーを握り、油で汚れるのも厭わずに、せわしなく動いている。
 ロボのメンテナンスをするルッカの瞳は、この上なく真剣だ。
 ほんの小さな不具合が、のちに重大な欠損をもたらすこともある。
『そんなところも人間と一緒なのよ』と、彼女は以前、言っていた。
 頬に落ちかかる髪を時折うるさそうに払いのけ、耳に掛けては手元に集中する。
 そんな仕草のひとつひとつを、僕は、作業を手伝いながら ―― と言っても、ただ、邪魔になるコード線を押さえててちょうだいと頼まれただけだったりするけど ―― 目で追っていた。
 ……と。
「……ちょっと、クロノ! 聞いてるの?」
「え? ああ、何?」
「今度はこっちを押さえてって言ってるの」
 ルッカは手にしたドライバーで別の束を示した。心なし、口調が不機嫌そうだ。
「まったく、ボーッとしてばかりいるんだから。コードを押さえてるだけなんだから、人の話ぐらいちゃんと聞きなさいよね」
 ―― 確かに、ルッカの言う通りだと思う。
 でも、それには理由があるんだ。
 僕はちょっと笑って、言った。
「ごめん。ルッカに見とれてた」
「なっ……」
 ルッカは口をパクパクさせると、瞬時に真っ赤になった。
「バ、バカな言い訳してるんじゃないわよ!! ……ほら! さっさと押さえなさいってば!」
「はいはい」
 ……言い訳じゃなくて、本当のことだったんだけどな。
 でも、それを口にしたら、さらにルッカが怒りそうな気がしたから、やめた。
 そして、僕は言われた通りにして。
 耳を染めたまま作業に戻るルッカを、また、見つめる。

 のどかな昼下がりの、他愛ないやりとり。
 ―― 僕の好きな風景。


63000の前後賞(賞の名前が毎回変わってます)で受付しました。
……えっと。とにかく何よりもまず……
リク受けてからとんでもなくお待たせしてすみませんでした汗。
カウンタもうじき80000だったような……
あは、あはははははははは(笑ってごまかすな)

言い訳させて頂くと、リクエストの「ロボを修理してるルッカと、
それを見てる(or 手伝わされてる)クロノ」という図、
似たようなのを同人誌の挿絵で以前描いちゃってたんですよね。
それに、ロボの修理してるルッカは鳥山先生画のイメージイラストにもありましたし。
で、かぶらない構図、かぶらない構図、と頭を捻ってたということと、
……やっぱり、ロボがどうにも描きにくくて、腰が重くなってたということも……。
でも、悩み込んだおかげか、クロノ×ルッカで小話が思いついたんで
それは怪我の功名かもしれません。……出来はさておき。爆
サイト内でクロノ×ルッカ書くの、ほぼ初めてですけど、
アンケート回答で好きなカップル「クロノ×ルッカ」って
答えてる方も複数おられたから大丈夫ですよね?
別にうちのサイト、クロノ×マールオンリーってわけじゃないし。
(↑どーにも信憑性に欠ける台詞なのは否めない辺り……)

タイトルの「Another Diary」が表しているように、
いつも私が書いてるクロノと、この話のクロノは違う人物です。
クロノのキャラトークで若干触れた、ルッカに対して恋愛感情を持っている方のクロノ。
だから一人称が「オレ」じゃなく「僕」なんです。
でもって、こっちの彼はこういう性格です。
色恋沙汰にとことん鈍そうで、わかってるんだかわかってないんだか
端からはよくわからないわりに、臆面なくあっさり好意を伝えるような、そんなタイプ。
それにしても、自分で設定しといて言うのもなんですが、
普段書いてるクロノとえらい違いだ。
いつものは、ちょっとはこっちのを見習えよ、ってぐらい
マールのことでオタオタオロオロしてるわ好きのひとつも言えないわ、ですし。
……元になったのは同一人物なのに、この差はいったい何だろう……。


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