
「クロノも食べる?」 「ん? あ、サンキュ」 マールが差し出したごく小さな包みを受け取り、クロノはそれを開いて口の中に放り込んだ。薄荷の匂いと爽やかな甘味が鼻腔からすっと抜けていく。ミントキャンディだ。 「クロノのは何味だった?」 同じように飴玉を口に転がしつつ、マールが尋ねてきた。 「ミント味。そっちは違うのか?」 「うん、私のはチョコレートなの。包み紙だけじゃわからないんだよね」 そう言って、マールはキャンディの包装を見た。そして、ふと、という感じで呟く。 「ミント味と、チョコ味。一緒に食べたらチョコミントになるのかな?」 「そりゃまあ、理屈ではそうなるだろうけど」 「試してみようか」 何かを考えついた顔。 まるでとっておきのイタズラが閃いたみたいだな、と思った瞬間、クロノの思考回路は停止した。――マールに口吻けられたために。 「……うん。ほんのりチョコミント風味」 たっぷり三十秒間の静止後、唇を離した彼女はあっけらかんと笑った。 「ごちそうさま♪」 ……それってどっちに対して言ってるんだ。 頭のどこか冷静な部分が呟くのを聞きながら、クロノは茹だり顔で呆然と目の前の少女を見つめたのだった。 |