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「じゃあエイラ、先に行って見てくる。クロたち、ここで待ってろ」 エイラはそう言い残すと、人間離れした素早さで森の中を駆け抜けていった。 残されたクロノとルッカは、やれやれとばかり、樹の根に腰を下ろした。 原始、迷いの森。 葉の一枚一枚の大きな樹々が鬱蒼と生い茂るそこは、濃密な緑の匂いに満ちている。 熱をはらんだ空気は、現代とは環境を異にする世界を感じさせた。 「思えば遠くへ来たもんだ、と」 伸びをして、クロノがおどけるように言った。 「……相変わらずノンキね、あんたは」 ルッカが疲れたため息をつく。 「今の状況、本当にわかってるの?」 クロノたちは、恐竜人のアジトを探していた。 奪われてしまったゲートホルダーを取り戻さなければ、自分たちの時代に帰ることもできない。それで、こうして手がかりを求めてここへやってきたわけだが、『迷い』の名はさすが伊達ではなかった。森は入り組み、なかなか追跡ははかどらない。 「わかってるよ。でもまあ、なんとかなるって」 「………」 ルッカは再びため息をついた。 彼のこの脳天気さは一体どこから湧いてくるのだろう、と昔からよく思う。 もっとも、それがクロノの持ち味であるのはわかっているし、その前向きな所に救われたような気分になることもしばしばなのだが……。 (そんなこと、絶対言ってやらないんだから) ルッカは半ば八つ当たりめいた気持ちを皮肉にしてクロノにぶつけた。 「このままだと、ここで暮らすことも考えなきゃならないかもしれないわね」 「僕は、それならそれでいいけど」 がくり。 ルッカは思わずずっこけてしまった。 「……あんたねぇ……」 だが、脱力するルッカを尻目に、クロノは屈託なく笑う。 「だって、ルッカが一緒にいるもんな」 「え……?」 ルッカは呆気にとられた。 心臓がゴトゴトと飛び跳ねだすのがわかる。 「クロノ……それって、どういう……」 「クロ! ルッカ! 足跡見つけた、コッチ!!」 遠くから、エイラが叫んだ。二人をせかすように大きく手招きしている。 「ホント!? 今行くよ!」 クロノが駆け出した。 「ほら、ルッカも早く!」 「ちょ、ちょっと待ってよ」 まろびそうになりながら、ルッカも立ち上がり、その背を追いかけた。 何事もなかったかのように自分の手を引っ張るクロノを見て、ルッカは自答した。 考えなしのクロノのことだもの、深い意味なんてないに決まってるじゃないの、と。 ……でも、ほんのちょっぴりだけ。 『ゲートホルダーが取り戻せなくても、いいんじゃないかしら』 なんて、思った。 −END− |
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<オマケのあとがき> (1)「もうそういた」への投稿作品。テーマは『遠距離』。「遠ければなんでもOK」のお言葉に甘えてこじつけ話。 (2)この話を書いたことで、クロノ×ルッカ設定におけるクロノのキャラクターが自分の中で固まった感じでした。おっとり気味でノンキ者だとか、天然でさらりと告白するだとか。……えーと。暴露しますと、性格のベースとして意識したのはスレイヤーズのガウリイです。だもんで、この話のタイトルが『Get along』(スレイヤーズ無印OP曲)に引っかけてあったりするという。 <<<小説目次 <<<クロノトリガー目次 <<<TOP |