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『ねがいごとはなんですか?』 *** 洞窟 ―― 巨人のツメから出ると、大粒の宝石のような星たちが全天を埋め尽くしていた。 「もうこんな時間だったのね」 ルッカがため息をもらした。 その横でクロノが入口を振り返り、 「結構入り組んでたからな、ここ」 「ほんと。疲れちゃった」 マールが伸びをしながら言う。 「今日はどこかに泊まろうよ。ね?」 「そうだな……あっ」 うなずきかけて、クロノはふと夜空に目を見張った。 「どうしたの?」 「ああ……今さ、流れ星が見えたから」 「えっ、どこどこ?」 マールがパッと顔を輝かせて身を乗り出したが、 「あの辺りだけど、もう消えちゃったよ」 「なーんだぁ……」 「何か願かけでもあったの?」 がっかりするマールに、ルッカが冗談ぽく尋ねた。 「願かけ?」 横からクロノが口を挟んだ。 「よく言うじゃない。流れ星に願いをかけると叶うって」 「ああ、それか」 クロノはうなずいた。 「だから見たかったのかい? マール」 「うん……ちょっと、ね」 歯切れの悪い返事。 (あ……) 瞳の翳りを見て、クロノは理由に思い当たった。 つい先日のこと、久しぶりに戻ったガルディア城で、彼女は父親のガルディア三十三世とひどい言い合いになったのである。おまけに大臣の助言に従ってみれば、お互いの誤解はさらにこじれ、溝は深まるばかりという惨憺たる結果に陥ったのだった。……今のマールの表情はその時と同じなのだ。 おそらく、願い事はそれに関係しているのだろう。ルッカも察したらしく、ばつが悪そうに口をつぐんでしまった。 「それより、クロノは? クロノは何か願い事、しなかったの?」 ぎこちなくなった空気を払うように、マールはつとめて明るく訊き返した。 「え? いや、オレは…」 目をパチクリとして、クロノは答えた。 「オレは、叶えたいことは自分の手で叶えるものだと思ってるから、そういうのはあんまり」 とたん、ルッカが『馬鹿』と言いたげに額に手を当てる。 クロノ自身もまた、口にしてからしまったと思った。いくらそう考えていると言っても、こんな時の答えとしては無神経ではないか。 彼は慌てて言葉を付け加えた。 「ご、ごめん! 別に願い事が悪いっていうんじゃないんだ。ただ、その…」 「ううん、いいよ」 マールは、しかし二人が驚くほどあっけらかんと首を振った。 「クロノの言う通りだと私も思う。……そうだよね。願うだけじゃ、始まらないよね!」 そうして何かを吹っ切るように微笑むと、茶目っ気混じりに言った。 「でもね。星の願い、叶ったこともあるんだよ、私」 「え?」 ―― だって見つけたもの。 キョトンとしたクロノの腕に手を絡ませ、マールは心で呟いた。 胸に光をくれる、私だけの星。 *** それは幼い日の他愛もない願い。 『わたしだけの、星をください』 −END− |
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<オマケのあとがき> (1)没ネタから引っ張り出してきた話。記録を見てみるとどうやら一年ほど前に書いたらしい……。これも「FOR EVER」同様、「もうそういた」用に考えた気がします。短いし。(「もうそういた」は掲示板のため、長い話は書き込みにくかったのです) (2)いつもよりはクロノがまとも(笑) 自分であまり気に入らなかったのが没理由でしたが、その点だけは満足してました。だってなぜか書く度にうちのクロノはマールにベタ惚れの大馬鹿野郎になってしまうから(爆) <<<小説目次 <<<クロノトリガー目次 <<<TOP |