● Rainyday Blue ●




 雨が降っていた。
 ほの白くけぶる景色の中、いくつもの水たまりに無数の波紋の輪が広がっては消える。

「雨かー…。なんだか気が滅入っちゃうよな」
 ルッカの家、窓辺で椅子にもたれていたクロノが、外を眺めて呟いた。
 その言葉に、ロボのメンテナンス中だったルッカは顔を上げた。
「あら、そう? 私はわりと雨って好きよ」
「え? なんで?」
 理解できないと言いたげにクロノが振り向く。
 ルッカは手元に視線を戻して、作業を続けながら答えた。
「こうして研究に打ち込む時なんかは、雨音って落ち着くのよ。だから、ね」
「ふーん。ルッカらしいな」
 クロノはちょっと笑った。
「まあね」
 いつもの勝気な微笑を浮かべてから、ルッカはふと真顔になる。
「それに……雨が降らなければ、砂漠に森は育たなかったわ。もちろん、雨だけが重要なわけではないけれど……」
「そっか。……そうだな」
 四百年もの永い激務から戻ってきたばかりのロボを見つめ、クロノは、ルッカの言葉をゆっくりと噛みしめるようにうなずいた。
「そんなふうに考えると、雨も悪くないか」

 外では、雨が変わらず降り続けている。
 大地に慈愛をもたらして。


 −END−



<オマケのあとがき>

(1)「もうそういた」への投稿作品。テーマは「PIECE OF THE RAINBOW」同様、『雨』です。こういう、ちょっとした小景って読むのも書くのも好きです。タイトルは某テイルズのドラマCDタイトルより。

(2)イラストに時々付けてるSS並みに短いですが、実はこれ、クロノ×ルッカにしようとして上手くまとまらなかった後半部分を丸々ちょん切ったためだったりします。後に続いてた文章の下書きがまだ残ってたんで、加筆してアップしてみたり。→ 続き、読んでみる?



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