● 時と光の下で 〜side K〜 ●




 もしも運命ってやつがあるとするなら、
 そいつは随分と皮肉な演出が好きらしい。

 クロノが死んだ。
 俺の目の前で。
 骨さえも……残さずに。
 そして、俺は ―― また動けなかった。

 重なる既視感。
 巡る悪夢。
 もう二度とこんなことは御免だと、遠い昔に思い知らされたはずだった。
 それなのに、繰り返すのか。
 立ち上がる勇気をくれた奴を、俺は再び失うのか。
 何も出来ずに。
 何もしようとせずに。
 ただ、時の癒しを待つばかりで。
 あの日と、同じように……
 
 ―― 違う。
 同じなんかじゃない。

「私、クロノを探す」
 マールが ――
 クロノがいなくなったことで一番参ってるはずのお姫さんが、決然と言った。
「きっとクロノは、どこかにいるはずよ!」

 それは有り得ない出会いを探すことに等しい。
 だが、こんな時。
 無駄なことと、あきらめたくなる時。
 あいつなら何て言うか、俺は知っている。
『やってみなきゃわからないさ』
 ……クロノの奴は、そう言って笑うんだ。

 もう間に合わないのかもしれない。
 取り返しがつかないのかもしれない。
 何かをするには、あまりにも遅すぎるのかもしれない。

 それでも。
 あきらめない限り、
 希望はいつも残されているのだと信じたい。

 あやまちを、これ以上繰り返さないために。

 ……行こう。
 失われた時間を、取り戻しに。


 −END−



<オマケのあとがき>

(1)「もうそういた」への投稿作品。テーマは『遠距離』。“Chrono side”を書き込んだ時に頂いたコメントで「クロノサイドってことは、他にも?」と訊かれたため、調子ぶっこいて他キャラ視点を考えてみた、という経緯でした。お調子者由空。

(2)これを書いてみて、カエル独白は難しい、とつくづく実感しました。クロノとカエルのコンビはすごく好きなんですけどね。



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