「The Fellowship of the Time Travel」




「だから。」
いつものごとく口火を切るのは騎士。
気怠そうに手近の木に体をもたせかけつつ、物憂げな口調で言う。
ただし、この緑衣の騎士は伝説にあるような黒髪の青年ではない。
異形の姿を鎧に包む、蛙顔の男。
「だから、日が暮れる前に野宿した方がいいっつったんだ、俺は。ほれみろ、やっぱり迷っちまったじゃねぇか。」
 ケロケロ、という音が時折混じる音が混じる騎士の小言にめげずに、利発そうな瞳の眼鏡の少女が言い返す。
「あら、だけど日が暮れちゃう前に少しでも先に進まないと、そうこうしている内にも復活しちゃうかもしれないのよ、ラヴォスが。」
「…そりゃ、そうだけどよ。」
 ぶつぶつとまだ何かを呟く騎士と発明家の眼鏡の少女を纏めるように、機械の体を持つ心優しいまとめ役が提案する。
「カエルサン、ルッカサン、キョウはここデ休みませんカ?体力を回復スルコトモ大事デスヨ。」
「だな。ロボ、テント出せテント。」
「…まぁ、そうよね。これだけ日が暮れちゃったらかえって危ないか。じゃ、ご飯の用意もする?」
 勝ち気な少女もロボットの言うことは素直に聞き入れるらしい。
「ご飯!それ、エイラすごく嬉しいぞ!!」
 糧食の入った袋をがさごそ探りはじめるルッカに、肉感的な体を薄着で包んだ美女が心底嬉しそうな声を挙げる。格闘専門の彼女は今日も一日散々動き回って体力を消耗していたらしい。
 そして。
 柔らかな金の巻き毛の少女が、そっと僕のそばに寄りかかって、囁く。
「みんな、元気よねー。」
「うん、そうだね。」
 僕の口調に、少女…マール王女は不審気な視線を向ける。
「どうしちゃったの?嬉しそうに。」
「いやぁ、」
 幼馴染みのルッカと僕とは、小さい頃いろんな夢の話をした。大きくなったら冒険をするんだ、宝物を探しに行くんだ、王女様を助けるんだ……
 毛布を被って夢中で読んだ小説。
 伝説の剣に見立てたすりこ木。
 魔王の洞窟だった、町外れの廃屋。
「まさか、小さい頃の夢がみーんなかなっちゃうとは思わなかったなぁ。」
 仲間にするのは頼りがいのある騎士、魔法使い、格闘家…
「お姫様まで冒険についてくる、っていうのはちょっと計算外だったけど。」
 僕の言葉にマールがなによう、と言ってぷっとふくれる。
「へんなクロノ。楽しいの?」
「うん。大変だけどね。」
 言って頭を掻く僕に向かって、マールは実は私もよ、とあでやかに微笑んでみせた。


「おーい、クロノ!マール!!先に食っちまってもいいんだなー?!」
「だーめー!ちゃんと待っててよ、カエル!!」
 野営地の中からかけられた声にマールが慌てて駆け出す。
 僕はゆっくり後を追う。
 焼けた肉の食欲をそそる香り、固まりのパンを器用に小刀でスライスして手渡すカエル。
「しっかり食ってさっさと寝て、明日も張り切って先へ進むぞ。」
「うん。」
 それは、面白くてやがてかなしき物語。


 これが僕の、僕たちの…『旅の仲間』。



>>>NOT END




 <<<頂き物目次

 <<<クロノトリガー目次

 <<<TOP