断末魔の雄叫びをあげて魔物の巨体が揺らぎ、地響きと共に倒れていく。
 轟音の余韻と砂煙が漂う中で、彼はその魔物が動かなくなったのを見て取り、肩で荒く息をついた。気が抜けて地面に膝が落ちてしまうのを、手にした剣を杖代わりに支える。
 舞い上がった埃が風に吹き散らされ静まるのを半ば無意識に見届け ―― そうしてから、ようやく彼は辺りを見渡した。
 ……どうやら、うまく逃げてくれたようだ。

 北大陸、モンストルの町に程近い街道。
 魔物に襲われそうになっている母子連れに出くわし、咄嗟に助けに入った。
 正直なところ、余裕のある戦いではなく、こちらも無傷というわけにはいかなかった。そのため、彼女らには『早く逃げろ』とひとこと叫ぶのが精一杯だったが、攻撃の余波に巻き込んだりはせずに済んだらしい。彼は胸を撫で下ろし、眉間に寄せた皺を薄くした。

 何者かによって魔王ムドーが倒された、という噂は既にこの地にも伝わっていた。
 しかし、その配下であるはずの多くの魔物たちは未だあちらこちらで大手を振り、跋扈しているままだ。
 今しがた倒したモンストラーも、そういった内の一匹だった。町やその近隣に現れてはたびたび暴れまわり、モンストル界隈の人々の頭を悩ませていたのである。
 とはいえ、少なくともこれでひとつは憂いも減ったことになる。
 怪我と疲労で身体は重かったが、達成感で彼の心は軽くなった。
 なんとか立ち上がり、朗報を町へと運ぶために歩き出す。

 ―― だが。
 彼はまだ知らない。
 背後で倒れた魔物が身じろぎし、最後のあがきに牙を剥こうとしていることを。
 その結果がもたらす、呪いにも似た病のことを。
 そして、それらはもうひとつの新たな物語の幕開けに過ぎないのだということを……今の彼は、知らない。


アモスです。DQ6未プレイの人には特に馴染みの少なそうな気がします…。
プレイした人でも、彼をパーティに入れずに進めてる人もいるかとは思うんですが、
自分的には彼も外せないキャラの一人です。
……いやその、そう言いつつこれが初描きだったり
初回プレイ時に仲間にするのめっちゃ遅れたりしましたけど;;
ゲームのエンディングで彼が思いっきりハブられてるのは大変不満です。
リメイク時には改善希望。扱い向上を望みます。
てゆーかモンストルも含めてEDで各地を見て回れるようにして欲しいです。

尚、SSをこういう終わらせ方にしたのは演出上の都合です。
だってゲーム通りにすると、アモっさんが噛まれたのってお尻……(爆)
せっかくシリアス調に書いてるのに、ギャグ風味になってしまいますがな。
あ、でもここでこうやって書いたら意味ないですか。
まあ、シリアス一辺倒で重々しいんじゃなくて
明るさと茶目っ気があるのがDQ世界の良いところだとは思うんですけど。

ゲーム中のアモっさんは明るいというかお茶目さんというか
なんかけっこう楽天的な人というイメージです。
自分でコントロールできるようになったとはいえ
魔物に変身する体質になってしまったのに、前向きに捉えてる感じで。
私は理性のタネをとってくる前に真実を伝えた場合の反応を知らないので、
余計にそう思うのかもしれませんが。
(でも責任感は強いんだろうなーとは思います。
聞いた話によれば、真実を知ったら町を出て行ってしまうんですよね…)


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