少年は、思いのほか落ち着いている自分自身に驚いていた。
大きな戦いを前にした高揚と不安は無論あった。
荒々しく猛り狂う雷雲と蒼い闇の狭間で、断崖の彼方にそびえるは魔王の居城。
今からあの場所に乗り込み、決戦に臨むことになるのである。
そして、彼らが ―― 少年を始めとした三人が旅を続けてきたのは、全てそのためだった。
つい先刻、焚き火の傍で仮眠を取っていた時にもあまり眠れず、そのことを指摘されたりもした。
だが。
何故だろう。
不思議な笛の調べに導かれるように、暗黒を切り裂いて飛来した黄金竜を見ても、動じて浮き足立つようなことはなかった。それどころか、妙に安らいだ心地でさえあった。
竜というものを実際に目のあたりにするのは生まれて初めてにもかかわらず、畏敬こそあれ、恐怖は全く感じない。ここにいる三人を楽に乗せて飛べるに違いない大きさであるのに、だ。
竜を召喚した彼女が、頼りになる味方だと告げていたためか。
それとも、覚悟を決めたことで、心が麻痺しているのか。―― あるいは。
その竜の目が、ひどく綺麗で優しいものだったからか。
翠緑のその瞳が、少年の黒橡の瞳と合った。
言葉などわからないはずなのに、どうしてだろう。竜は彼に向かって、こう語りかけているように思えた。
―― まかせて ―― と。
声にならないその囁きは、胸に力強く響いた。
竜は翼をひるがえして大地に降り立つと、背を向け体を屈めて彼らを促した。
「よし。……行こう!」
仲間たちに肯いてみせ、少年は竜の背中に乗った。
彼らを運び、黄金竜は闇の中、鮮やかに輝く翼を羽ばたかせていく ―― 。
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キリ良く1日から企画を始めて発売日の9日までで各キャラを振り分けて
最後をオールキャラ、と決めたものの、そうなれば当然8枚目は余るわけで。
いろいろ考えてみて、こういう風になりました。
一度目のムドーの城への挑戦…つまりゲームでのオープニングですが、
この場面はストーリー上は「過去」の話なので、
企画絵の流れに入れてもあまりおかしくないかなーと。
ちなみに黄金竜=バーバラ、という説にのっとると、
このSS、主人公×バーバラだという解釈も成り立ちます。笑。
ていうか本人的には思いっきり主バのつもりで書いてました。
もっとも、裏設定みたいなものなので
カップリングじゃない見方して頂いても全然オッケーです。
そういえば、もしDQ6がリメイクされたら
ここら辺の黄金竜関連のエピソードも補完して追加されるんでしょうか。
むしろ切実に希望してるんですが。
ここで出てくるミレーユ姐さんの持ってる笛。
企画の姐さん単体絵でもオカリナ風に描いてますが、
小説版DQ6ではオカリナという表現はされてないんですよね。
でも漫画版(幻の大地)ではオカリナだったしなー、
てーか、それ以前にどうして自分はオカリナってイメージ持ってたんだろ?
サントラの曲タイトルからそう思ったんだっけ?と考えつつ
確認のためにゲームのオープニングを改めて見返してみたら、
ちゃんとそれっぽいグラフィックが示されるんですね。だからか…。
あ、そうそう。それで、そのゲーム本編だと
竜が飛んでる状態でその背中に飛び乗ってるんですが
それはちょっとムチャだろ、ということで文章中では変更してます。
見た目的にはそっちのが様になるのは確かですけどね…。