ミサンガ


「ねぇ、クロノ髪の毛ちょうだい」
 マールがそんなことを言い出したのは中世のトゥルース村の宿。
 もう日は暮れていて、マールは髪をおろしていた。
「いいけど・・・なんでだよ?」
 クロノが問いただすと、マールはポケットに手を突っ込んで  刺繍糸を見せた。
「これね、ミサンガっていうんだけど、ほら、この刺繍糸を三つあみにして、これが切れると願い事が叶うんだって!」
 幸せそうにマールは言った。
「でも・・なんで髪の毛必要なんだ?」
「あ、そうそう。あのね・・・!」
 マールは言いかけた。だがハっとして口を塞ぎ。顔を林檎のように赤くすると。
 うつむき、なるべくクロノと目を合わせないように
「いいから!とにかく髪の毛ほしいの!」
 強引にクロノの髪の毛をひっぱった。
「いたっ!いたいってば!」
 クロノが悲鳴をあげると、マールは小さな声で「ごめんね」を謝るとまっしぐらに、もちろんクロノの赤毛を持って。宿の部屋に戻ってしまった。
「なんなんだよ・・・」
 抜かれたところの頭をおさえながらクロノは低くつぶやいた。

 数日後。
 クロノはマールが手首につけているその「ミサンガ」がやたら気になった。
 さらに自分のと思われる赤毛は刺繍糸にまじっているのはなんだか嬉しいのか、恥ずかしいのか・・。
 そんな気分だった。
 その日は、たまたま森に野宿だった。
 エイラがいうには「たまにはこういうのもいいんじゃないか」
 そんなところだった。
「それじゃ、私達見回りに行ってくるね。」
 テントも張り終わり、食事も終わったところだった。
 マールがルッカと見回りに行くというのだ。
「別に、ここのモンスターは弱いし。平気だろ?それにもう遅いし・・」
「いいの!私ルッカと一緒だし平気だよ。それじゃ行ってくるねーー!」
 クロノたちに大きく手を振りながらマールとルッカは行ってしまった。
 クロノもつられて手をひらひらと振った。
 やることも特にないので、刀を磨こうと、焚き火の近くにすわった時だった。
 見回りに行って、まもないのにルッカが血相を変えて、こちらに走ってきた。
「クロノ大変なの!マールが・・・」
 はぁはぁと息を切らすルッカ。
「マールがどうしたんだ!?」
 ただごとではないとクロノも刀を鞘に戻すとルッカは再び口を開いた。
「そこの・・崖に、足とられちゃって・・落ちそうなの!!
 腕もしびれてるみたいだし・・!早くいってあげて!!」
 はっとクロノは息を呑んだ。
 先ほどここに来るときには崖があった。
 しかも高い。
 そこにマールが・・・?
 そう思うと、クロノはいてもたってもいられなくなった。
「俺行ってくる!!」
「あ、まって!!」
 クロノに続いて、ルッカも走った。

 テントが張ってある場所からそうも離れてない場所に崖はあった。
 マールは必死になって、崖に手をひっつかせていたが、だんだんと腕はしびれてきてる。
「やだぁ・・ルッカ・・早くきて・・」
 マールはどうにか下を見まいと、目をぎゅっとつむった矢先。
「マールだいじょぶか!!」
 クロノだ!
 マールは辛い状況でも明るく笑顔をみせ、クロノの方を向いた。
「クロノ!!!助けて!!」
「ちょっと待ってろ!」
 クロノは額の鉢巻を外すと、マールの方に腕を伸ばした。
「これにつかまるんだ!」
 マールは比較的痺れていないほうの腕を鉢巻に伸ばした。
「今・・・引っ張るから・・」
 クロノが鉢巻を持つ手に力を入れたときだった。
「おわっ!?」
 自分の体のバランスが崩れた。
 その時の反動で、自分の身体は崖から乗り出しそのまま倒れるように、空中に身体は投げ出された。
「マール・・・!」
 幸い、二人は鉢巻でつながっていた。
 クロノは空中で、マールを抱きしめる体制を取った。
 地面に落ちたときにマールの被害を少しでも和らげるために
 自分が下敷きになるために、
 ドサッ!
 鈍い音があたりに響いた。
 マールはクロノが自分の下敷きになっているのを気づくと急いでどくと、クロノが気を失っているのに気づいた。
「く・・クロノ!ねぇ・・大丈夫?クロノ!クロノ!!!」
 ゆさゆさとクロノを身体を上下に揺さぶると、クロノはうめき声をあげ出した。
「うう・・・」
「クロノ!?クロノ・・?大丈夫?」
 クロノはゆっくりと起き上がったが、下敷きになってしまったため服はボロボロだ。
「痛ッ・・・」
 クロノは自分の腰に酷く激痛を覚えた。
「だいじょうぶ・・・?私が、私が・・崖から落ちそうになちゃったから・・」
 マールの瞳は涙目になり、声はかすれていた。
「あっ!」
 クロノはマールの腕を見ると、気がついた。
「マール!!ミサンガ・・切れてる!」
「えっ?ああ!」
 マールは自分の腕を見つめると、太陽が照ったように、顔を明るくした。
「やった!ミサンガ・・切れてるよー」
 マールは地面に倒れてるクロノをじっと見つめた。
「クロノ・・ありがと・・」
 優しくクロノの頬に口付けた。そして
「私・・・願い事かなったよ・・・。」
 幸せそうに、クロノに向かって微笑んだ。


END


〜あとがき〜
なんだかとっても、まとまりのない文で本当に申し訳ありませんでした。
初クロノ小説でした!



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