「約束だよっ、○日の×時にリーネの鐘の前だからねっ!忘れちゃやだよ!!」

あの台詞を言ったのが、随分昔のように感じる―――――――――――――――――





遠い約束〜私の居場所〜





「は〜ぁ・・・・・・・」
 今、私―――マールディアことマールは、リーネ広場のリーネの鐘の前で、 すっごいブルー=落ち込んでいた。
 ホントは今日、この鐘の前でワクワク気分で彼を待っている筈だったのに。
 おめかしして、今日の彼と過ごす筈だった一日を想像でもしながら。
 神様はイジワルだ。
 何でこんな時にこんなことになっちゃうんだろう。
 すっごく、すっごく楽しみにしてたのに―――――――


 話は五時間あまり前に遡る。
 今日はクロノとのデートの日。
 ×時にリーネの鐘の前で待ち合わせをしている。
 今日着て行く服を考えて選んでいると、電話が鳴った。
 こんな時間に誰だろう?と思いながら出てみると―――――――
「もしも、し?マール?俺だけど」
 クロノだ!あれ?何か感じがいつもと違うなぁ・・・・。でも彼からの電話ですっかり嬉しくなりながら言った。
「クロノ?どーしたの?あ、今日の約束っ!忘れてないよね!」
 興奮する気持ちを抑えながら、彼ーーークロノの返事を待った。
「う・・・うん、あの、そのことなんだけどさ・・・・。」
 いつになく申し訳無さそうなクロノの声。
「何?どうしたの?」
「・・・・その、ごめん!今日、行けなくなったんだ!」
 一瞬、マールの中の思考回路が止まった。
 しばらくして、はっと我に返る。
「え・・・・・・えぇぇっ!!ど、どどどーしてぇっ!?」
 電話とも忘れ、大声を出してしまった。
「う・・・・・本当ごめん・・・・。でもどうしても今日だけの大事な用事なんだ!
 本当に・・・ごめん、マール・・・・」
 クロノの悲しい声を聞いて、マールは責めて困らせちゃったかな、と思った。
「・・・ううん、いいよ!だって急用の大事な用事なんだもん。私のことは気にしないで、ねっ!」
 無理に明るい声を出す。
 嘘つき。
 全然大丈夫なんかじゃない。
 ホントはやだよ。あんなにあんなに楽しみにしてたデートだったから。
 あの時無理矢理にでも「やだ」って言えば、こんな辛い気持ちにならなかったのに。
 でも・・・・・・・・。でも、そしたらクロノが困っちゃう。
 クロノを困らせたくなんかないもん。
 だから、やっぱり、これで良かったのかな・・・・・・・・・・。

「・・・・・・こーゆうのを、自業自得ってゆうのかな・・・・・・・」
 リーネの鐘を見上げる。
「あたし、間違ったことしたのかな・・・・・・・。・・・でも、クロノの困った顔、見たくないから・・・・・・
 あたしのせいでクロノが・・・・・・・・・あたしが少しガマンすればいいだけだもん・・・・・・そうだよね」
 自分に言い聞かせる。でも、何だか言い聞かせるたびやっぱり虚しくなってきちゃう・・・・・・・・・。
「・・・・・・っ、クロノ・・・・・・・会いたいよぅ・・・・・・」
 だんだん悲しくなってきた。やだ、こんなとこで泣いちゃダメ。しっかりしなきゃ・・・・・
 でも、私の目から溢れる涙は止められない。


 クロノに会えたら・・・・・・。

 クロノに会えたら、きっとこんな涙すぐ止まっちゃうのに・・・・・・・。

 クロノに会えないだけで、クロノが傍に居ないだけで、私はこんなに悲しくなる。

 会いたい・・・・・・・。


「クロノっ・・・・・!!」

 リ―――――――ン、ゴ―――――――――ン・・・・・・・

 リーネの鐘が鳴った時・・・・・・



「マール!」



 聞き覚えのある、優しい、声。
 顔を上げると・・・・・・・
 そこには、私が求めてた、愛しい彼・・・・・・・クロノが居た。



「ク、クロノ・・・・!?何でここに・・・・・今日は用事があったんじゃ・・・・・」
 驚いたせいもあるかもしれないけど、やっぱり、クロノの顔を見たら私の涙は止まってた。
「いや、あのさ・・・・それより、これ!」
 クロノは小さな細長い包みを差し出した。
「これ・・・・?何?」
 包みを受け取り、クロノの顔と見比べる。クロノは恥ずかしいらしく、顔が真っ赤だった。
「・・・・・っいいから、開けてみろよ」
 クロノに言われるままに包みを解く。すると、中から出てきたのは―――――――
「わぁっ・・・・・!キレーイ!」
 中から出てきたのは、三日月と星がくっついたペンダントであった。
 真正面から見ると黄色だが、それを傾けると今度はオレンジ色の月と星になった。
 また別の方向へ傾けると、今度は青だ。そして赤、紫、最後には虹色にまでなった。
「キレイっ・・・・!どうしたの、これ?」
 マールはまだペンダントを傾けて様々な色を楽しんでいた。
「本当は今日の夕方頃これが着く筈だったんだけど・・・・。早く着いたからさ、早くプレゼントしたくて・・・・・。
 マールの喜ぶ顔、早く見たかったからさ・・・・それに俺、まだマールに何もプレゼントしたことないから」
 クロノは照れながらもマールに向き直って言った。
「・・・っ、嬉しいっ・・・・!ありがとう、クロノ!」
 その時・・・・・



 リ―――――――ン・・・・ゴ―――――――――ン・・・・・・



「あ・・・・・」
「リーネの鐘だ」
 2人が出会ったことを祝うかのように、優しく、リーネの鐘は鳴り響いた。
「キレイな音色だね」
 マールが言った。
「うん」
「ねえ、知ってる?リーネの鐘の伝説」
 マールが突然クロノに聞いた。
「何?」
「うふふっ・・・・、あのね、ここで彼氏にペンダントをプレゼントしてもらった彼女は、その人とず―――っと両想いでいられるんだって」
「へえ、知らなかったな」
「じゃあ、私ず―――っとクロノと一緒に両想いでいられるんだね!」
「・・・そうだな・・・・・これからも、ずっと一緒にいような、マール」
「うん!」
 そしてマールはクロノの首に腕を回し、つま先だってキスをした。
 彼女はそれと同時にペンダントに祈った。





              「私が考えたこの伝説が、いつか本当のリーネの鐘の伝説になりますように・・・・・・・・・」


◇あとがき◇

『マール親衛隊』入隊記念ということで書いた爽やかなクロノ×マールです。
あのリーネの鐘が大好きなので、それにテーマをしぼってみました。
リーネの鐘が鳴り響いた時、2人の運命は動き出す―――――――――
そんな感じのお話にしてみたかったのですが・・・・・・いかがでしょうか・・・・(小声)
クロノとマールはすごいラブラブ系でも大好きなんですが、こーいう爽やかラブも大好きです。
でもちょっとクロノが別人(?)になっちゃったかな、と思います。
あと、題名はクロノトリガーのサントラにある曲名からいただきました。
では、読んでくださって、どうもありがとうございました。あなたにもリーネの鐘の祝福がありますように・・・・・・・。


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