君を想い・・・


「そう言えば、マールは好きな人いるの?」
 ガルディア城で、マールとお風呂に使っている時に私は尋ねた。彼女は顔を急に赤らめた。顔を見れば、よほど鈍感でない限り解ってしまう。そんな顔を彼女はしていた。
「ははーん。さーては、相手はクロノだなぁ〜?」
「え、え、い、居ないよ好きな人なんて。」
 バレバレな隠し方につい大声で笑ってしまった。
「マール、だめよ。既にバレバレ。さあ、白状しちゃいなさい。」
 彼女ははむくれて林檎のような顔をしながら答えた。
「・・・・・・ルッカの言う通り・・・・・クロノ・・・・・・・・です・・・。」
 答えを聞いた時私は彼女の可愛らしさに思わず抱きしめた。
「マールってば可愛い〜。そんなに照れちゃってさ。」
「〜んもう。じゃあ、ルッカは誰なの?」
 すかさず聞く質問。胸が少し痛かった。笑いが静かになってしまう。
「私の好きな人はね・・・・・・・・・・・私と絶対に結ばれない相手よ・・・・・・。生まれた時が大分違うもの・・・。」
 そう答えると少しほっとした顔つきで彼女は言う。
「・・・・・・カエル?」
「・・・・・・・・・さぁ。秘密よ、秘密。」
 私がじらしたら、彼女は予想通り膨れて返事をする。
「何で?あたしはちゃんと言ったのよ?教えてくれたっていいじゃない。」
 素直で可愛いと思った。
「・・・・・・結ばれる事は無いんだから、ハンディよハンディ。」
「あ・・・・・、気も使わずにずけずけと聞いちゃってごめん・・・。」
 自分を責めている顔をした彼女。心配させまいと、笑って言った。
「良いのよ。気にしないで。あなたはクロノのことだけ考えてなさい・・・。と言っても、恋 愛の面だけよ。」
 彼女は鈍感じゃないから、きっと私の心の中はお見通しだと思う。
「さて、そろそろあがろうよ。」
 気付かないふりをしているのか、気付いてないのか解らなかったけど、彼女の笑顔は明るいと思った。
「・・・・そうしますか。」
 と言って私は彼女と共に湯船から出た。
 その後、クロノと出口で落ち合う。マールはこそこそっと隠れてしまった。さっきの話が印象的に残っているんだと思った。意外な面を見たような気もした。
 私たちは、マールの案内で部屋へ行く。

 部屋へ入った時には、夜中でもうすぐで日にちが変わる時刻だった・・・。
 ベッドに入って天井を見上げた。目をつぶればあの人の顔が浮かぶ・・・。
「もし・・・・、貴方が普通の人の姿ならどんな姿なのかしら・・・。夢でも良いから会いたいわ。」
 つい、独り言。想像が全くつかないあの人の顔。
 とても大きな窓の向こうには星が見えた。次第に、眠くなってきていた。

「・・・・・・・カ・・・・・・・・ッカ・・・・・・・ルッカ・・・」
 次第と大きくなる声は段々と明確に聞こえてくる。気付いたら、声の主は私を呼んでいた。
「・・・ルッカ?俺だけど解るか?」
 目の前に現れたのは、緑色の長髪の男性だった。知らない男の人が目の前に居た事に、正直驚いてしまう。
「・・・・・・・・・・・失礼ですが、どなたでしょうか・・・?」
 解らなかった。何せ、旅をしているメンバーの中に緑色の髪の男性は居ない。ましてや、緑色の髪の連想できる男性も居ない・・・。
「・・・・・・本当に解らないのか・・・?」
 聞き覚えのある口調にハッとする・・・。
(この少し威張ったような口調・・・・・聞き覚えがあるのに・・・・)
 そう思いながら、じーっと顔以外にも体全体を見つめる。
(この鎧って・・・・・)
「・・・・カエルなの・・・・?」
 あちらは、やっと気付いたかという目で見つめた。
「これが・・・俺の呪いの解けた本来の姿ってわけだ。ちなみにな、この姿だった時はグレンって呼ばれてたんだぜ。姿にちなんでカエルが名前として定着しちまったわけさ。」
 いつものような口調で笑っている。
(この顔にこの口調・・・・・合わないわ・・・。)と心の中で思いつつ、
「グレン・・・それが貴方の本名なのね・・・。」
 本名を知ることができた嬉しさを声に出していた。
「カエ・・・・・・グレン、私、貴方に言いたい事があるの。」
 勇気を振り絞って、伝えたい事を口にしようとする。深刻な顔を見ての判断か、グレンはどうせ顔と口調の事だと思い、
「俺から先に言わせてくれ。」
 と言った。せっかく勇気をここまで奮い立たせていたのに後回しにされたため、気が抜けそうになってしまった。
「俺が、お前に言いたいのは、・・・ルッカ、お前が好きって事だ・・・・。・・・・・・・・カエル男に言われて、嬉しく無いだろうがな・・・。」
 恥かしさを隠すようないつもの口調。自分の姿を嫌う態度。いつもと変わらなかった。
「・・・・・・嬉しいに決まってるでしょ。」
 グレンは、は?とでも言いたげな顔をしていた。
「・・・・・・・姿形なんて関係ないわ。貴方自身に言われて嬉しいの。私も、好きだったから・・・。」
 顔を赤くしていくルッカを見て、その言葉を聞いて、グレンの顔も赤くなっていった。
「それより、その顔で、その口調絶対に不自然に見えるわ。その姿の時だけ・・・・あたしの前で、その姿の時だけ・・・・口調を変えてほしいわ。ダメなら、私が慣れるようにするけど。」
 真剣に成りつつ、赤く染まっている顔が、とても可愛く見えた。
「ルッカのためだ。惚れた相手の願いは聞かないと・・・・ね。」
 口調をルッカの為だけに直そうとしてくれるその姿に、心打たれた。
「ありがとう。変なお願いでごめんなさい。」
 少し反省・・・と言う顔でグレンに話す。
「グレン・・・貴方の体に触れてもいい・・・?」
 しゃがみ込み、
「どうぞお好きなように・・・。」
 と告げる。
「その代わりの条件があります。」
 グレンは加えて話始める。
「? 条件って何?」
「それは、俺にも後で触れさせてほしいって事・・・。」
 少し恥かしそうに言う。笑って答える。
「いいわ。どうぞ、お好きなように・・・。」
 顔がほんのり赤かった。
 顔に触れて、触れ合って、髪にも触れて・・・・普段味わう事の出来ない感覚を確かめあっていた。
「カエルのままだったら、俺はルッカに触れようとすらしなかったと 思う・・・。」
 笑ってルッカは、
「私は、気持ちが通じ合えていたのなら触っても、触られても良いと思っていたわ。その気持ちが通じ合える時間も、場所も無かったから、今まで触れれなかったの。」
 そう良いながら、グレンの胸に倒れこむ。
「貴方の胸ってとっても広いのね・・・。男の人の腕の中なんて、父さん以外の人は初めてよ。」
 倒れたルッカを抱き返すグレン。
「ルッカは、こんなにか細かったんだ。強く抱きしめたら、壊れてしまいそう・・・・。」
 そうやって感想を何度言い合ったか・・・。
「ルッカはさっき、男に抱かれるの初めてって言ってたけど・・・・?」
 クスクスと笑いながら
「気になるのね。聞きたい?」
 からかい口調で返す。
「ルッカが、嫌じゃなければ。」
 気遣った言葉を返してくれていた。
「私のね、初恋はクロノよ。今までずっと好きだったのよ。だけど、幼馴染の壁をこえるのは難しいの。」
 ふぅっとため息をつく。
「それで・・・?」
 さっきより少しだけ強く抱きしめながら聞く。
「千年祭ってお祭りが現代の今、やってるの。そこで、クロノはマールを連れて来たわ。その時に、失恋確定って思っちゃったの。だから、男の人に抱かれる事は無かったのよ。」
 苦笑した。
「その後、ゲートが開いたの。そして貴方の居る時代へ行き、貴方と出会ったのよ・・・。」
 抱きしめながら俯いたグレンは、
「・・・・今も、クロノに少しでも未練がある・・・・・?」
 不安そうに聞こえた。
「そんなわけないわ。そうだったら、貴方の腕の中に、私は居ないわ。」
 心配性なんだから・・・そう言いたげな口調で答えた。
「ルッカ・・・・唇に触れてもいい・・・?」
 顔の中で決して触れようとしなかった部分に触れたいとそう話したグレンに、
「良いわ。好きな貴方になら、どこを触れられても嫌じゃない。」
 と答えた。その返事をかみ締めた後そっと指で触れ始める。
「・・・・・・唇って、柔らかいんだ・・・。」
 笑って、
「そうなの?私は触れた事が無いから解らないわ。」
 話す。
「じゃあ、触れてみる?」
 そう言った後そっと口付ける・・・。
「グレン・・・貴方のも柔らかいわ。」
 恥かしそうに顔を赤くしてグレンは、
「気持ちが良いから、もっとしても良い・・・?」
 そう言った。
「どうぞ・・・。」
 その言葉を受け止めるように答えた。
 恋人達の語らいは、夜が明けるまで続いた。

 知らない間に疲れて寝たルッカを、夜が完全に明けきった後に起こした。
「ん・・・・グレン?もう朝なの・・・?」
 目を擦りながら顔を見ようとする。
「ああ。もう夜が明けちまったぜ。」
 声に気付く。
「カエルに・・・戻ってる・・・?」
 ルッカは驚きを隠せずにいた。
「呪いは解けないんだとよ。だから、呪いをかけてもらったのさ。」
 不安そうに聞くルッカを抱きしめてやれない事に後悔を抱くグレン。
「夜、俺は好きな時に人間の姿に戻れる。本当は夜の間ってだけの呪いらしいが、魔王が気を利かせてくれてよ、夜の間は魔力が上がってるから呪いも制御できるって言ってたな。昔のは駄目らしいがな・・・。」
 体の震えが止まらないルッカの肩を軽く叩く。
「朝の間中も出来たら良いのにな・・・。今はこれぐらいしか出来ないんでね。すまないな。」
 泣いているのかもしれない。その現実を見てもどうする事も出来ない自分が腹立たしくなるグレン。
「じゃあ、そろそろ帰る。クロノ達が起こしに来るだろうしな・・・。」
 窓に手をかけ、飛び降りようとした。
「待って・・・。驚いてごめんなさい。ビックリしただけなの。ずっと人間の姿で居られると思っていたから。」
 戸惑いながら話すルッカ。そのルッカを背中の方から抱きしめた。
「すまない。手が足りないんだ。カエルの俺は嫌いか・・・?」
 首を懸命に振り、
「そんなことない。手が足りなくてもいい。気持ちが通じ合っていればそれで良いの。」
 グレンはルッカの体からそっと離れ、頭を撫でた。
「クロノ達に見つかる前に俺は消える。見つかったらあの2人は特に厄介だからな。」
 そう言って再び窓に手をかけた。
「確かにね。」
 笑いながら同意する。
「じゃあな。また後で落ち合おう。」
 一瞬ルッカに、カエルのままの姿と、人間の時の姿と二通り見えた。その後彼は飛び降りた。
「グレン!また後でね!」
 叫びながら窓から手を振った。
 コンコンコン。
 ルッカが見送った後、ドアの叩く音がした。
「はい。」
 返事をしながらドアへ近づいて鍵をあける。
「おはようルッカ。昨日は良く眠れた?」
 着替えをし終えたマールがそこに立っていた。後ろにクロノの姿も見える。
「ええ。おかげさまでぐっすり眠れたわ。今起きた所なの。すぐ支度するから待っていて。」
 こくりと大きくうなずいて。
「わかったよ。」
 いつもの元気良さで彼女は答えた。
(・・・いよいよ始まるのね・・・・。私たち7人の最後の戦いが。)
 戦いが終わってしまったら、時を旅する事はしないと心に誰よりも強く誓っている。
(もし、戦いが終わっても、貴方を思う気持ちは決して変わらない。変えたくない。)
 どんなに離れても、2人の想いは変わらない。変えられない。そう想いが定めた運命だから・・・。

END

−あとがき−
・「君のために・・・」番外編「君を想い・・・」どうでしたか??クロノvマール は行き過ぎなぐらいLOVE×2で・・・・困った方も居るのでは・・・?変わっ て、グレンvルッカはプラトニックLOVE・・・って感じで割かしシンプルに・・ ・。なってしまいました。ちなみに、触れてって書いてありますが、18禁行為は当 然の事、15禁行為すらしていないので悪しからず・・・・。

・ん?なして、グレンvルッカ??いやね、一番書きやすかった。のと、私的に、由 空様の絵でグレンvルッカを拝見したところ、嵌ってしまったのが原因かと・・・ (爆)

・ここで言わしてもらうのも何ですが、「君のために・・・」の方は凄く表現が下手 なんで・・・・・・表現がグチャグチャ!と叫びたいほどなので、こちらを読む方を お勧めいたします(殴)でも、荒筋を知るためには、少しあっちを読まないと解らな いのが難点。なんせ番外編ですから・・・。

・下手な表現まだまだいっぱい有ると思います。前回同様、しょうがないなと思いな がら、見てやってくださって結構です。また頑張って、綺麗な表現をしていい作品を 作成したいです。




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