引きちぎられて見る影もないぼろ布と化した、服や下着だった白い細片が、地面に散らばっている。わずかにまとった服の残骸も、彼女の裸身を隠す役には立たず、クロノに揺さぶられるたび、ひらひらとなびいた。
 立ったまま胸を唇と舌で弄ばれ、陰裂の奥を指で擦り上げられ、なぶられる。とめどなく吐き出される透明な蜜がクロノの手を濡らし、それでも飽き足らずに腿を伝い、流れ落ちていった。
 洞窟のひんやりと湿った空気にさらされた身体の中で、彼の触れたところばかりがひどく熱かった。脚に力が入らない。そのまま崩れ落ちることを、けれど、彼の腕が阻んでいる。マールのことを抱きしめるというよりも、逃れるのを許さないという意思表示のように。
 やめて、と彼女は訴えたつもりだった。だが、思いに反して、口から洩れ出たのは言葉の体裁を持たない、かすれた息の音。
「……っ、あ……ぁ……」
 マールは弱々しい手つきで、精一杯彼を押しのけようとした。
 すると、まるでそれすら望みのうちとでも言いたげに、クロノは酷薄に微笑んだ。
「あんまり暴れるなよ。手元が狂うから」
「……!」
 これ以上は入ってこないだろうと思っていた限界を超えて、ぐい、と深くねじ込まれる。
 指先と共に悲鳴も飲み込み、全身を反らせるマールを見て、彼は喉で笑いを噛み殺した。
「ほら、こんなふうに」
 既に拒んでいない、抵抗できなくなっていると察しているだろうに、わざとらしく荒っぽい仕草で中を掻き混ぜてくる。
 耳が痛くなるほど静かな薄闇に、淫らな水音が響き続けた。
 鼓動がそこと連動し合い、激しく波打っている。酸素が足りない。浅い呼吸を繰り返すと、ほのかな雪色の呼気が目の前に散った。
 ……と。
 絶頂を迎える一歩前で、唐突に嵐のような愛撫の奔流が止んだ。
 指が体内から引き抜かれて、解放された安堵と、いっそ昇りつめてしまいたかったという欲求が複雑に絡み合った吐息がこぼれる。唇が無意識に『もっと』という言葉を形作りかけ、それを自覚して、マールは思わず頬を赤らめた。
「もっと、してほしいんだろ?」
 クロノの意地の悪い問いかけに、否定を口にすることも、首を横に振ることも叶わない。身も世もなくうなずいてしまいそうになるのを、沈黙することで抑えるだけだ。
「たまには正直に言ってくれてもいいんじゃないか?」
 ぬめりを帯びた手が、内股の付け根をゆっくり丁寧になぞった。
 抱き寄せられて、互いの剥き出しになった胸同士が触れ合う。
「わかってても、聞きたくなるんだ。マールの声で。マールの言葉で」
 耳朶を撫でる低い囁きが、焦らすような運指が、かろうじて保っていた理性を剥ぎとっていく。
 もうあきらめてしまえ、と彼女の中の誰かが自嘲した。
 ここまできたら、羞恥心など意味がない、と。
 欲するままに、本能の赴くままに、求め、委ねてしまえ、と。
 マールは小さく唇を噛むと、彼に聞こえるか聞こえないかの境にある涙声で呟いた。
「……もっと、して、ほしい……だから、いじわるしないで……」
 それを聞いて、クロノは御褒美を与えるように唇に柔らかく口吻けてきた。
「それでいい」
 満足げに言い、髪を軽く梳いて、彼は愛撫を再開させた。



中途半端なSSですが、前後考えるのが面倒なので(というか思いつきません。
特に、どんな状況でこんなことになったんだかってのが)これにて終了です。
それにしても何でしょうね、この黒ノの外道っぽさ。アンタ誰。
むしろ外道なのは自分ですか。
いや……なんかこう、好きな子って守りたい優しくしたいってのと同時に、いじめたい泣かせてみたいとか思ってしまうんですよ……。

拍手コメントで「クロノがマールの胸を吸ってる絵希望」(原文ママ)
というリクを頂きまして。それを元に絵を描いたらこうなりました。
これだと吸ってるじゃなくて舐めてるじゃないかなーと思わなくもないですが。
ちなみに服を破いてるのは別口で、11月末の絵チャ時に
私が「マールの服の脱がせ方がよーわからん」とかほざいてたら
「破いてしまえばいい」と某方に言われたことに起因してます
(この辺のやりとりは表の絵チャログ参照のこと)。

余談。この絵、下描き段階でスキャンしたのを別の絵チャ時に他の方々に見せたら
ほぼ全員に「激しい」とツッこまれたという曰くつきです。
……まー、真っ昼間からこんなんアップする私も私なんですけど。


<<<SECRET目次

<<<TOP